2015年6月29日月曜日

丸二型日付印 ‐ 東京郵便電信局/東京中央郵便局/東京郵便局 (補遺)

丸二シリーズを続けるために東京の丸二エンタを整理していましたら、面白いものを見つけてしまいました。

リーフを御覧頂ければお判かりいただけると思います。

今まで印軸の外径は、7.6分(=23.03mm)と8分(=24.24mm)とがあると書いてきました。
そのとおりではあるのですが、ここに示したエンタは、外径が8.2分(=24.85mm)あります。

この2通以外で私の持っている同じタイプは、多少ふらふらながら 38 -12 -29  7 .10 の一点だけです。


























「わずか3枚のデータで何を言うか」とお叱りが有るやもしれませんが、3枚とも他の8分環とは判別が可能なのです。

したがって、新種として登録しておきます。(言うたモン勝ち…)

私は、外径3種の判別は、
7.6分環  定規測定で23mm付近(23.5mm以下)
8.0分環  定規測定で24mm以上          
8.2分環  定規測定で25mm以上
としています。

なぜこんなものが出現したのかは判りません。

あるいは、印軸が破損しかけて0.1分幅のタガを嵌めたのか、追加/交換で新種を作ってしまったのか、いずれかでしょう。

他の局では見かけませんので、正規のサイズ変更ではなくその場しのぎの1本と思われます。




































































【自己評】普段なら、エンタの差出人やら、絵葉書の裏やらいろいろと関係の無いことを書き込みたかったのですが、このリーフはこのでかい新種を強調するために、余計なことは一切省いてみました。
葉書の方は印影が立派である以外は折り目やシミが有るなど、二級品扱いですが、実は鉛筆書きです。
裏も、当時流行りの芸妓の写真をカットの中に嵌めこんでいます。

2015年6月26日金曜日

丸二型日付印 ‐ 東京郵便電信局芝口郵便支局/東京芝口郵便局 及び新設5支局(郵便局)

支局(市内郵便局)も並べてゆくと、ますます収集が難しくなってきます。

芝口支局は、丸二使用期間中電信を扱いませんでした。したがって公式名称は「東京郵便電信局芝口郵便支局」。わざわざ「郵便支局」と断っています。

郵便と電信を扱う前出の15支局の公式名称は「東京郵便電信局〇〇支局」。簡単です。

芝口局は明治37330日限りで閉鎖され、翌331日から郵便事務は東京京橋郵便局に移されます。
(為替事務・貯金事務は新橋郵便取扱所が継承)

西久保局が芝局に移転改称したのと同じ日です。
なぜ、年度の改まる41日にしなかったのか、本当の理由は判りません。
しかし、会計単年度主義が影響していたことは容易に想像できます。

単年度会計のもとでは、商品/サービスの発注から納品/完了までがひとつの年度に収まる必要があります。

もちろん、「債務負担行為」(=当該年度では商品/サービスの発注のみを行う)という例外はありますが、「やむを得ない理由」が必要です。

41日に移転したのでは、発注は新年度に属してしまい納品/完了も同日付けという無理が生じます。
それよりも何よりも新年度当初にそんな大金が準備できなかったのでしょう。

「何もかも旧年度中に終わりました」(少なくとも書面上は―です)と整理した方が簡単です。
お役所の発想です。

この京橋局を含めて新設があと4局で、計5局。

高いハードルは高輪局です。
リーフに書き込みをしていませんが、丸二の使用時期は無集配局です。

赤坂局は収集も簡単そうですが、この局だけ印軸に新旧があります。
前出の 7.6分環と 8分環です。
私自身もリーフ作りの後で気づいて、時刻入り2種を無理に押し込めました。
窓口事務も電信も取り扱わなかったため、時刻空欄はなさそうです。

白金局も電信業務が無なかったため、時刻空欄は難しく未集です。

丸之内局は「丸ノ内」表記も並行使用したようですが、「丸ノ内」出現時期を特定できるほど集まっていません。
櫛型印での表記は「丸ノ内」の勝ちでした。





































































【自己評】未集の言い訳みたいなリーフ解説 ―― まあ、たまには良いことにしておいてください。

2015年6月22日月曜日

丸二型日付印 ‐ 東京郵便電信局兩國・西久保支局/東京兩國・西久保郵便局/兩國郵便電信取扱所

東京の 16支局 15支局を一旦終えまして、いよいよ丸二使用期間中に途中で移転改廃のあった局にはいります。

まずは、完集が最も難しい中のひとつと目されている兩國局です。

この局の郵便電信取扱所時代、それに続く無集配郵便局の時代の時刻入り印は滅多にお目にかかれません。
時刻空欄の後期の印影はどこかにはあると信じていますが、それも未集です。

次に西久保局です。
丸二使用途中の明治37331日に移転して芝郵便局に改称しました。

この局の消印もよく見かけますので郵便の取扱量が多くなかったとは思えませんが、どうも8分環の印軸が交付されたとは思えない節があります。

為替・貯金事務用の時刻空欄はどこかにはあるのでしょう。
芝局になってからも、旧西久保時代の初期型印を流用しています。
8分環が現れるのは、移転からずいぶん後のようです。

ともあれ、リーフを御覧ください。





































































【自己評】このあたりから収集が難しくなってきます。メジャー・オークションにもあまり登場しません。少ないことが十分に知られている局(=丸二では和田岬檢疫所内など)でもなければ値が飛ばないからでしょうか。
海外のネットオークションで気長に拾いものを探す以外に手はなさそうです。

2015年6月19日金曜日

丸二型日付印 ‐ 東京15郵便電信支局/東京市内15郵便局 (3)

ページのタイトルが突然変わったのは、ひとえに私の不覚です。
丸二型が使用されている間に局名に変更が無かったのは、東京市内16局ではなく15局でした。
西久保が誤って算入されていました。

リーフは作ってしまっていたので、修正せずにそのままアップしておきます。(ズボラです)
本日は時刻欄空欄の為替貯金用日付印です。

これも、印影の大きさで区分けしてみました。
外径7.6分/8駒型、
外径7.6分/3駒型、
外径8分/3
の三つの基本型です。

時刻無しは、どうしても面白みに欠けてなかなか集まりません。
しかし、縦書為替印はあれだけ大事にしていたのに、丸二に代わってからは突然つれなくするのもいかがかと思い、並べる努力だけはしています。

私の怠惰だけではなく、為替貯金用には本当に使用されなかった局もあるかもしれません。
(西久保が、或いはその実例かもしれないのです。)

なにはともあれ、リーフを御覧ください。






































































【自己評】全15局を詰め込むと書き込みのスペースが無くなりますが、1リーフにまとめた方が一覧できて判りやすいのではと頑張りました。
ただし頑張ったのはリーフ作りだけで全て揃うのはまだまだ先です。

2015年6月3日水曜日

丸二型日付印 ‐ 東京16郵便電信支局/東京市内16郵便局 (2)

東京支局(市内局)の2回目です。

前回書きましたように明治35年以降は、外径8分/3駒型/小数が登場してきます。
しかしこの明治35年に限って言えば、セットで三拍子揃ったものは、なかなかお目にかかれません。

むしろ、従来の小さい外径(7.6分)のものに3駒型日付を詰め込んだものが普通に見られます。
時刻部については、当然ながら分数より小数表示の方が多いようです。

110余年の歳月を経て残った遺産を見れば、郵便局員は実に生真面目に公達を墨守していたことが判ります。

そして、月日が流れてようやく本来の外径8分/3駒型/小数が主流となるのが2年ほど後のことでしょうか。

リーフを御覧ください。





































































【自己評】
こういう議論をするからには、さらに満月印を充実させなければいけないのですが世の中なかなか思うようにいきません。つらいです。

2015年6月1日月曜日

丸二型日付印 ‐ 東京16郵便電信支局/東京市内16郵便局 (1)

まだ5月と言うのに記録的な炎暑続きの毎日でした。
月も替わり、今日は「お朔日」。

前回までは東京局についてゴタゴタと書いていましたが、今回からはもっと面倒な支局についてです。

丸二型日付印が使われた期間一貫して、移転改廃も業務継承も無く同じ局名同じ場所で営業した支局は全部で16です。

麴町・神田・飯田町・麻布・靑山・四谷・牛込・本鄕・駒込・下谷・淺草・深川・本所・小石川・西久保・三田。

偶然でもないのでしょうが、全局が郵便電信支局です。
唯一変わったのが官制。通信官署官制の施行に伴って「郵便電信支局」から「郵便局」に改定されました。

この16局以外に、東京市内で丸二型を使用したのは14局(所)です。
  ※ ただし、次の局(所)はいずれも1箇所としてカウントしています。
      〇 議院郵便電信取扱所  衆議院内郵便局に改称
      〇 兩國郵便局        兩國郵便電信取扱所に改定、後再度郵便局に改定
      〇 丸之内郵便局      日付印の局名表示に「丸之内」「丸ノ内」並用

  ※ また、次の局はそれぞれ独立してカウントしています。
      〇 西久保郵便局から移転改称した芝郵便局
      〇 芝口郵便局廃止に伴い取立金払渡事務を継承した京橋郵便局

局(所)の設置改廃にこんな注釈が必要なほど錯綜しています。
とりあえず先述の16局は、まとめて扱う方が比較に便利なので並べてみました。

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※ 2015/06/03 追記
  
   丸二の大家みたいな口を利いておきながら初歩的なミスにやっと気が付きました。
   上掲の16局の中に西久保が入ってしまっています。
   15局に訂正します。
   西久保は、改めて別のリーフで独立した取り扱いをしますので御了解ください。
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東京局でさんざん書き散らかしたように、日付印の大きさ(外径)に2種類あるようです。

当初から使われた、外径7.6分(23.03mm)で外側の円の幅が0.3分(0.91mmの印軸
明治35年に、3駒型/小数とともに登場した外径8.0分(24.24mm)で外側の円の幅が0.5分(1.52mmの印軸

この二種類の印軸が8駒分数/3駒小数とセットで使われれば簡単なのですが、
8駒小数/3駒分数  が見つかっています。

加えて、新旧の印軸が混用されています。

全ての組み合わせがあるとは思えませんが、時代を追って並べてみると、

▼ 最初に、外径7.6分で8駒分数が使われ
▼ 明治35年からは、支局では外径7.6分で3駒小数が相当数見られます。

どうも、予算をケチって新しい駒だけ交付したと考えるのが順当なように思われます。
もちろん、新しい規格の印軸も12本は交付した可能性もあります。
次回に御覧いただく本鄕支局はその例です。

ただあまり見かけません。明治35年に最も多く見られるのは、上記の「旧規格の印軸に新しい駒」
の混用タイプです。

とりあえずは、最初に使われた「外径7.6分で8駒分数」のリーフです。
東京局と同様かそれ以上に、日付部に入れるバーの位置にバリエーションが有って面白いものです。

日付部の各数字やバーは、自由にスライドできたのでしょう。そのスライド止めのようです。

リーフです。

【自己評】 随分集めたつもりでも、並べると穴だらけ…数の威力は恐ろしいものです。
この上、栗3銭だけに限って揃えるなんぞは、夢の世界ですナ。