2015年7月29日水曜日

明治末の芸妓絵葉書  ―新橋煉瓦地藤都の雛妓 濵勇(浜勇)  Hamayu, the geisha of Shinbashi

過日、大阪切手まつり2015(マッチャマチの味覚糖UHA館 7/20海の日)に寄せていただきました。
これという収穫はありませんでした。
(当然ながら「掘り出しもの」はごろごろ見つかるものではありません。)

そのかわりに、絵葉書の方でちょっと面白いものを見つけました。
500円也。

早速リーフを拵えて貼ってみました。





































































木村梅次郎會長の下、「類鑑」刊行など当時の郵趣界をリードした郵樂會の発行。
畳紙や解説書はうれしいオマケ。東京市の記念行事の「紀念印」は印刷です。

葉書表の1/2線上に銘版があって、「合資會社日本美術寫眞印刷所」。
パッと見は宜しきながらもルーペで見ると、原色版は2、30年前の芸能誌並み。
それでもこの時代ならば上の部類。

不発行4種のレイアウトが気に入りました。

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絵葉書屋さんに立ち寄ったのは、実は密かに集めている「濵勇」という芸者さんの絵葉書が目的。

この時期、多くの芸妓が絵葉書モデルとして名を馳せましたが、このお嬢さんは一世紀を超えた現在なお、海外マニアまでをも魅了し続けています。

で、その絵葉書屋さんとのやりとりの中、日本絵葉書会の会報「ヱハカキ」最新号をいただいた上、濵勇の絵葉書についても情報なりを調べてみるとのお話までいただきました。

そういう次第ですので、今回の投稿は丸二型日付印シリーズを少し休んで、私の濵勇コレクションの整理旁々、ウォントリストを掲載します。

ただ「やっつけ仕事」ですので、水準の低い図鑑程度にお考えください。

さりとてこのブログのコンセプト「リーフをそのまま御覧いただく」を枉げるわけにもゆかず、自慢できるものを1リーフだけ掲載して、あとは絵葉書画像のみとします。

まずその自慢品です。





































































背景の書割も絽と思しき一重、半襟も全て同一です。
1枚は切手が剥がされていますが、表を見ますと贈り主(注文消しですので送り主ではありません)はともに Emile Clément とおっしゃるお方。
贈り先も同じ Alice Flageollet というお嬢さんです。

2013年と今年とに別々のところから入手しました。並べてみて私が一番びっくりしています。

何より興奮したのは、天津の消印の日付 ― 明治4312月です。
幾人かの熱心な先達の方々によって、濵勇の絵葉書は初発が明治43年であることが解明されています。

しかし惜しむらくは、海賊版です。
東京や横浜でこんなものを売ったら、すぐに足が付いてしまいます。
欧米人向けの土産品として長崎あたりなら十分に複製品の製造販売が推測できます。

以前に靑島俘虜郵便で御紹介した筑前名島の遊覧土産に使われたのも納得できます。
http://kitte-renshucho.blogspot.jp/2014/07/die-kriegsgefangenenpost-tsingtau-das.html

天津の消印があるのも大きな無理なく説明できます。乗船前は船内で購入したものでしょう、
きっと。

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さてリーフ展示の義理は果たしましたので、以下はただの写真集です。
サイズだけは揃えました。

彼女の様々な表情もよく見ると、ふっくらした丸顔と面やつれした姉顔とが見られます。
ふっくら顔がごく初期の撮影と思われますので、概ねその順に並べます。

まず、最初期と思われる店の他の芸妓さんとの写真からです。
帯の柄行きがよく判別できませんが雲形とも見えますので仮にそう呼んでおきます。
現在では考えられませんが、このころは振袖に紋を入れていたそうです。

京都の呉服屋さんは婚礼などで着る大振袖に対してそれ以外のものを中振袖―略して「中振(ちゅうぶり)」と呼んでいます。
ここではその語を使用します。

【胡蝶の中振・雲形の丸帯・揚羽の半襟】
(収集済み)





























(同一衣装で他のものは未見です)

【胡蝶の中振・華文の丸帯・揚羽の半襟】
※画像のタッチや化粧の感じ、半襟のずれ具合などから三度ほどの撮影と思いますが、衣装が同一ということで便宜的に一括します。
全て同一日の撮影とは考えていません。
(収集済み)












































































































































(以下は未集)




























































































































※ 未集の画像については、ネット上から拾い集めたものです。
   明らかに出典の判るものも含まれていますが、不都合があればお知らせください。
   速やかに対処します。
   併せて、でき得れば掲載を御勘弁いただかれんことをお願い申し上げます。

【ぼかし小紋】
(収集済み)



































まだ駆け出し故、とにかく種類を増やすことにしています。お見苦しい汚れ・疵は御容赦ください。
(同一衣装で他のものは未見です)

【白川女】
俗に誤って大原女と言われるコスプレ。大原女は薪を白川女は花を売ります。
(収集済み)





































(未集)




























【切取中振】
熨斗柄の総絵羽かと思いましたが、切取(パッチワーク状の柄)のようです。更紗だとやや年行きがしますので他の何かと思いますが不明です。
(収集済み)






































































(未集)



























【水仙中振】
(収集済み)






































































(未集)




















































柄行きがいかにも田舎向けみたいで粋さが感じられません。
撮影者も誰なんでしょう。他のシリーズと比べてセンスが感じ取れません。
ところで、丸帯は或いは最初に掲げた雲形と同じものかも。


【海辺風景】
この衣装はこの1枚のみで、他は見たことがありません。少し変顔になっています。
大正4年の消印。
(収集済み)





































【絣柄小紋】
(収集済み)









































(未集)



























次回に続きます。

1 件のコメント:

  1. 荷風日記にある芝口金兵衛(食事)を検索、女将が藤都の藝妓とあった。
    母方祖母が新橋魚籐(鮮魚商 詳細不明)の娘と聞いており、藤繋がりの縁を感じた。

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