前回に引き続き、東京局の丸二の諸型を御覧いただきます。
まだ五月と言うのに台風が今夜遅くに京都に近づいてくるようです。
外は雨…。
水牛製の印がスポットで登場しました。
本池さんの研究では、明治35年3月初めから9月の終わりまで見られるそうです。
意気込んで捜してみたものの、なかなかの難物です。
滅多に見かけません。
ネットオークションで、3年ほどの間にわずか2回見ただけです。
そもそも明治33年末に東京郵便電信局に交付された丸二印の印軸は、一体何本だったんでしょうか。
時代は遡りますが、明治17年に柴田眞哉が描いた「郵便取扱之圖」では東京局の押印係は7人描かれています。
今一人は図外(図の左上)に居たとして、押印係は8人。
さらに郵便引受窓口に一人、為替窓口に一人。
少なくとも計10本は必要です。
丸二印は当初の8駒型/35年からの3駒型ともに全くの官製です。そこへ、民間業者が(何らかの伝手を頼って)水牛製を納品したいと申し出たので、仕方なく寸法を教示し2本作らせてみた … まず、そんなところでしょう。
水牛製は、日付部は8駒型です。その方が作製する駒数が少なくてすんだのでしょう。ですから、日付表示が全体に右寄りになったりしています。
時刻はもちろん小数表示です。
仮に上記の仮説が正しいとすれば、水牛製の出現率は2 / (10+2) = 1/6 です。
実際の感じでは、1/10 以下のように思えます。
もうひとつ気になるのは、3駒型が登場した後、旧式の8駒型はどうなったか ― です。
先述の本池さんの研究では、分数表示の最終使用は36年1月27日ということです。
本日のリーフでは繁忙期(年賀状)に使用された分数表示を示しています。
しかし、古い印軸(外径7.6分のもの)は35年1月以降に使用された形跡はありません。
(数少ない手元の資料からの推測です)
全て外径8分の新印軸に置き換わって、時刻分数表示の駒だけが一部残されて使用されたと考えるのが妥当と思っています。
前回御覧いただいたリーフに「東京」の文字の比較を表示しています。よく見ると、「京」の字体に二種類あるのが観察できます。
水牛製のタイプIIと36年の分数表示とを示したリーフですが、偶々両方とも欧米の商社が関わった葉書でしたので、柄にもなく両社の記号入り切手も並べてみたい ― と色々目移りさせながら拵えてみました。
本題以外のことをリーフにごたごたと並べたてるのは、展示の技術上マイナスであることは承知しながらです。
脱線ついでに、紐育S.O.発信の葉書に書かれた「チャスタ」等はオイルの商品名です。
【自己評】 いろいろと関係の無いことを書きこんだリーフは、詮索好きの私の趣味に過ぎません。
それでも、本題の丸二印の諸型を示すリーフであることを示すために日付データの書込みを網掛けするという姑息な手段に出てしまいました。
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